居眠りが多い方へ「過眠症を自力で治すコツ」や睡眠不足との違いを解説

過眠症 治す 自力

過眠症は、日常生活に深刻な影響を与える睡眠障害のひとつです。日中の強い眠気や、突然の居眠りに悩まされる方も少なくありません。しかし、適切な生活習慣の見直しによって、過眠症の症状を自力で改善できる可能性があります。

この記事では、過眠症を自力で治すための具体的な方法を紹介します。ストレス管理や適度な運動など、日常生活で実践できる改善策についても詳しく解説します。

過眠症に悩んでいる方が、少しでも快適な生活を取り戻せるよう、ぜひ参考にしてください​。

目次

過眠症とは何か

過眠症は、日中の過度な眠気や眠り込みを特徴とする睡眠障害です。次に、過眠症の基本的な定義や種類、引き起こす原因について詳しく見ていきます。

  • 過眠症の基本的な定義
  • 過眠症の種類
  • 過眠症を引き起こす原因

これらの情報を通じて、過眠症の全体像を理解し、どのような場合に注意が必要かを確認していきましょう。

過眠症の基本的な定義

過眠症とは、日中に強い眠気が生じ、生活に支障をきたす睡眠障害のひとつです。

夜間に十分な睡眠を取っていても、日中に強い眠気に襲われることがあります。その結果、集中力や注意力・記憶力の低下を引き起こすことが特徴です。

また、過眠症は単なる眠気に留まらず、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群・周期性四肢運動障害などが含まれます。生活の質を著しく低下させる可能性があるとして、厚生労働省からも「早期の診断と治療が重要」とされている疾患です。

出典元:過眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)

過眠症の種類

過眠症には、いくつかの種類があります。代表的なものは、ナルコレプシー・過眠症候群・睡眠時無呼吸症候群などです。

ナルコレプシー

日中に突然強い眠気に襲われ、意識を失ってしまう発作が特徴です。感情的な興奮や笑いや怒りなどによって、筋肉の脱力感が起こる発作(カタプレキシー)や、睡眠中の幻覚や幻聴(睡眠麻痺)などが起こることもあります。

過眠症候群

ナルコレプシーに似た症状を示しますが、発作が軽く、幻覚や幻聴は伴いません。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。睡眠中の呼吸が止まることで、脳への酸素供給が不足し、眠りが浅くなるため、日中に強い眠気を感じることがあります。

これらの過眠症は日常生活に大きな影響を与えるため、適切な診断と治療が重要です。

過眠症を引き起こす原因

過眠症の原因は完全には解明されていませんが、以下の要素が関係していると考えられます。

  • 遺伝的な要因
  • 神経伝達物質の異常
  • 脳の構造異常
  • 基礎疾患

これらの要素により、過眠症が引き起こされることがあります。特に、睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能低下症といった基礎疾患が原因となる場合もあるのです。

睡眠不足と過眠症の違い

睡眠不足と過眠症は、どちらも日中に強い眠気を引き起こしますが、根本的な原因や対処法は異なります。ここでは、睡眠不足の特徴と過眠症の特徴、そして過眠症かどうかを判断するためのセルフチェックリストについて解説します。

  • 睡眠不足の特徴
  • 過眠症の特徴
  • 過眠症のセルフチェックリスト

これらのポイントを理解することで、自分の状態を正しく判断し、適切な対応を取る手助けになるでしょう。

睡眠不足の特徴

睡眠不足は、主に以下の要因で引き起こされます。

慢性的な睡眠時間の不足

仕事や学業・育児などで十分な睡眠を取る時間が確保できないことが、睡眠不足の代表的な原因です。この場合、日中の眠気は睡眠時間を増やすことで改善できることがあります。

不眠症による睡眠の質の低下

睡眠時間が確保できていても、睡眠自体が浅く、質が悪い場合も睡眠不足に陥ります。例えば、不眠症によって寝つきが悪かったり、何度も目が覚めたりすることで、結果として体が十分に休めていない状態です。このような場合、いくら横になっている時間が長くても、実質的に深い睡眠を得られず、日中の眠気が解消されないことがあります。

生活習慣や環境の問題

カフェインの摂取や夜遅くまでのデジタルデバイスの使用、夜勤などの不規則な生活習慣が、体内時計を乱し、睡眠不足を引き起こすことがあります。

睡眠時間が短い」あるいは「睡眠の質が悪い」と感じている場合は、睡眠不足や不眠症が疑われます。まずは睡眠時間を増やし、睡眠環境を改善することを試みましょう。これにより日中の眠気が解消されれば、睡眠不足が原因だった可能性が高いです。

過眠症の特徴

過眠症は睡眠不足とは異なる原因で、日中の過度な眠気を引き起こします。主な特徴は次のとおりです。

十分な睡眠を取っていても日中の眠気が続く

過眠症は、夜間に十分な睡眠を取っているにもかかわらず、日中に強い眠気や居眠りが頻繁に起こることが特徴です。これには、睡眠時無呼吸症候群などの基礎疾患が関与していることもあります。

突然の強い眠気

過眠症の患者は、活動中でも突然強い眠気に襲われ、意識的に眠りをコントロールできないことがあります。このような眠気は、休憩を取ったり昼寝をしたりしても改善されないことが多いです。

生活への支障

過眠症は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。仕事中や会議中に居眠りしてしまったり、運転中に眠気が襲ってきたりするため、事故や怪我のリスクが高まることも懸念されます。

十分な睡眠時間を確保しても日中に強い眠気が続く場合や、生活に支障をきたすほどの眠気がある場合は、過眠症の可能性があります。この場合は、自己判断での対処は難しく、早めに医師に相談することが必要です。

過眠症のセルフチェックリスト

以下の症状に1つでも当てはまる場合、過眠症の可能性があります。該当する場合は、すぐに専門医に相談することをお勧めします。

  1. 十分な睡眠(7~8時間)を取っているのに、日中に強い眠気がある
  2. 活動中に突然眠りに落ちることがある
  3. 朝起きても、疲労感や倦怠感が残る
  4. 自分で気づかないうちに長時間寝てしまうことがある
  5. 無意識に昼寝をしても、眠気が解消されない
  6. 家族や友人から昼間に寝すぎだと指摘されたことがある
  7. 突然居眠りをして、その間の記憶がないことがある

上記の質問に1つでも「はい」と答えた場合、過眠症の可能性があります。過眠症は睡眠不足とは異なり、専門的な治療が必要な疾患です。早めに医師の診察を受け、適切な対応をとりましょう。

一方で、睡眠不足による眠気であれば、生活習慣の改善で症状を緩和できる場合があります。日常生活を見直し、睡眠時間を十分に確保することから始めてみてください。

過眠症を自力で治すための方法

過眠症の症状が軽度の場合、生活習慣の改善によって症状を緩和できることがあります。ここでは、過眠症を自力で改善するために重要な3つのアプローチを紹介します。

  • 十分な睡眠時間の確保
  • 睡眠の質を向上させる
  • 生活習慣の見直し

これらの方法を実践することで、日常生活の中で過眠症の症状を軽減することが可能です。

十分な睡眠時間の確保

過眠症を自力で治すためには、まず十分な睡眠時間を確保することが重要です。

睡眠不足が続くと体が不足分を補おうとして、日中に強い眠気を感じることがあります。理想的な睡眠時間は個人差がありますが、一般的には7~8時間を目安とするのが良いでしょう。

また、毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を安定させることができます。昼寝をする場合も、20~30分程度にとどめることで、夜の睡眠に影響を与えず、日中の眠気を軽減することが可能です。

睡眠の質を向上させる

睡眠の質を向上させることも、日中の過度な眠気を防ぐために有効です。

質の高い睡眠を取ることで、朝の目覚めがスッキリし、日中に眠気を感じることが少なくなります。寝る前の行動が睡眠の質に大きな影響を与えるため、次のような習慣を取り入れてみてください。

まず、就寝前のカフェインやアルコールの摂取は控えましょう。また、寝る直前に熱いお風呂に入ることで、体温が下がりやすくなり、自然とリラックスしやすくなります。

さらに、寝る前にリラックスできる音楽を聴いたり、照明を落として静かな環境を整えたりすることも効果的です。これらの工夫を取り入れることで、良質な睡眠を得やすくなり、日中の眠気が軽減されるでしょう。

生活習慣の見直し

日中の眠気を改善するためには、生活習慣の見直しも重要です。特に、規則正しい生活を心がけることで、体内時計が整い、睡眠の質が向上します。

まず、毎日決まった時間に起床し、同じ時間に就寝することを習慣化しましょう。適度な運動も睡眠の質を高めるために有効で、特に朝や日中に軽い運動を取り入れると、夜間の睡眠が深くなることが期待できます。

さらに、バランスの取れた食事を心がけることも大切です。特に、就寝前の過度な食事は、消化活動が活発になり、睡眠の質を下げる原因になるため、避けるようにしましょう。

これらの生活習慣を整えることで、睡眠の質が向上し、日中の眠気が改善される可能性が高まります。

過眠症を病院で治す方法

過眠症の症状が深刻な場合や、自己治療で改善が見られない場合は、病院での治療が必要です。ここでは、過眠症を病院で治療する際の流れを詳しく説明します。

  • 正確な診断を受ける
  • 治療薬の使用
  • 基礎疾患の治療

これらのステップを通じて、適切な治療を受け、過眠症の症状を効果的に管理する方法を確認していきましょう。

正確な診断を受ける

過眠症の治療を始めるためには、まず正確な診断を受けることが非常に重要です。過眠症の症状は、不眠症や睡眠時無呼吸症候群など、他の睡眠障害と類似している場合があるため、医師による詳細な評価が必要になります。

診断には、以下のような方法が用いられます。

問診と生活習慣のチェック

医師が患者の睡眠パターン・日中の活動・生活習慣について詳しく質問します。これにより、過眠症の原因や影響を評価します。

ポリソムノグラフィー(PSG)

PSGは、睡眠中の脳波・心拍・呼吸・筋肉の動きを詳細にモニタリングする睡眠検査です。これにより、睡眠の質や異常を確認し、過眠症の可能性を探ります。

日中の眠気評価テスト

エプワース眠気尺度(ESS)やメチルフェニデートテストなどが用いられます。これらのテストを通じて、日中の眠気の程度を客観的に評価し、過眠症かどうかを診断します。

これらの検査を通じて、過眠症かどうかを正確に診断し、適切な治療方針を立てることができます。

治療薬の使用

過眠症の治療において、薬物療法は主要な治療手段のひとつです。過眠症の症状を抑えるために、以下のような薬が処方されることがあります。

覚醒促進薬(モダフィニル・メチルフェニデートなど)

これらの薬は、脳内の覚醒を促進する働きがあり、日中の過度な眠気を軽減します。モダフィニルは、過眠症やナルコレプシーの治療でよく使用される薬で、依存性が低く、集中力を高める効果があります。

抗うつ剤(トリアゾラム・クエチアピンなど)

一部の抗うつ剤は、睡眠障害を改善し、過眠症の症状を和らげるために使用されます。特に、抗うつ剤の中でも鎮静効果の強いものが選ばれることが多いです。

ナトリウムオキシベート(Xyrem)

特にナルコレプシーを伴う過眠症の場合に用いられる薬です。夜間の睡眠を深くすることで、日中の過度な眠気を軽減します。

薬物療法は、個々の患者の症状やライフスタイルに応じて調整されます。医師の指示に従い、定期的な診察を受けながら、効果と副作用を見極めていくことが大切です。

基礎疾患の治療

過眠症が別の基礎疾患に起因している場合、その基礎疾患の治療が過眠症の改善に不可欠です。以下に、主な基礎疾患とその治療法を紹介します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

過眠症の原因として最も一般的なものの一つが、睡眠時無呼吸症候群です。この症候群では、睡眠中に呼吸が何度も止まるため、睡眠が分断され、日中に過度な眠気を引き起こします。

治療には、CPAP(持続陽圧呼吸療法)が広く用いられます。CPAPでは、就寝中にマスクを装着し、気道に持続的な空気圧をかける装置です。気道の閉塞を防ぎ、安定した呼吸を確保します。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの不足が過眠を引き起こすことがあります。この場合、甲状腺ホルモン補充療法が行われます。定期的な血液検査を通じて、ホルモンのバランスを調整しながら治療を進めることで、過眠症状の改善が期待できます。

精神疾患(うつ病・双極性障害など)

精神疾患が過眠症の背景にある場合、その治療が重要です。抗うつ剤や気分安定剤を用いた治療が行われ、精神状態の安定化が図られることで、過眠症状も改善されることがあります。

基礎疾患の治療と並行して、日常生活での睡眠習慣の見直しやストレス管理を行うことも、過眠症の改善に寄与します。医師と相談しながら、適切な治療を続けることが大切です。

過眠症と関わる関連疾患

過眠症は、他の疾患と関連して発症することがあります。過眠症と密接に関連するいくつかの疾患について解説し、それらが過眠症にどのような影響を与えるかを見ていきます。

  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関連
  • 自律神経失調症との関連
  • うつ病との関連

これらの疾患を理解することで、過眠症の背景にある要因を把握し、より効果的な治療につなげることができます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関連

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。この呼吸停止は数秒から1分以上続くことがあります。これにより夜間の睡眠が断続的になり、十分な睡眠が取れなくなることがあるでしょう。

SASは過眠症を引き起こす大きな要因のひとつです。睡眠が何度も中断されることで、脳が睡眠を補おうとし、日中に強い眠気が現れることがあります。SASが疑われる場合は、早期に医師の診察を受け、CPAP(持続陽圧呼吸療法)など適切な治療を受けることが重要です。

主な症状には、以下のものがあります。

  • 朝起きても疲労感が取れない
  • いびき
  • 睡眠中に呼吸が止まる
  • 日中の強い眠気

自律神経失調症との関連

自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで起こる病気です。

自律神経は、心拍や血圧・消化などを無意識のうちに調整する働きを持っています。このバランスが崩れると、体がリラックスできず、夜間の睡眠が浅くなることがあります。その結果、日中に過度な眠気が現れることがあるでしょう。

自律神経失調症が疑われる場合は医師の診察を受け、生活習慣の見直しやストレス管理・薬物療法などでバランスを整えることが重要です。

自律神経失調症の主な症状は以下のとおりです。

  • 疲労感
  • めまい
  • 動悸
  • 息切れ
  • 不眠

うつ病との関連

うつ病は、気分が落ち込み、意欲や興味が減退する病気です。

うつ病は過眠症と密接に関連しており、夜間の睡眠が不規則になることや、逆に過剰な睡眠を取るようになることがあります。また、精神的な疲労感や無力感が過眠を引き起こすこともあるでしょう。

うつ病が疑われる場合は、精神科や心療内科を受診し、カウンセリングや薬物療法を含む適切な治療を受けることが重要です。

うつ病の主な症状には、以下のものがあります。

  • 強い疲労感
  • 気分の落ち込み
  • 意欲や興味の減退
  • 食欲不振
  • 不眠または過眠

過眠症を自力で治すことに関する注意点

注意点

過眠症の治療には、正しい診断と適切な治療が不可欠です。ここでは、過眠症の治療における重要な注意点をまとめました。

  • 誤った診断と治療の可能性
  • 基礎疾患の治療を優先する
  • 過眠症を自力で治すには限界がある

これらの注意点を理解することで、治療を進める際のリスクを減らし、最適な治療方法を選択する手助けとなります。

誤った診断と治療の可能性

過眠症の症状は、他の病気と似ていることがあります。そのため、誤った診断や治療が行われる可能性も否定できません。適切な治療を受けるためには、信頼できる医師に相談することが不可欠です。

睡眠障害の専門医に診てもらうことで、誤診のリスクを下げられるでしょう。もし診断に不安がある場合は、セカンドオピニオンを検討することもおすすめします。

基礎疾患の治療を優先する

過眠症と診断される前に、他の病気を排除する必要があります。過眠症の症状は他の病気と重なることが多く、誤診のリスクがあるためです。例えば、甲状腺機能低下症や脳腫瘍・薬物中毒が考えられます。

これらの病気が原因である場合、まずは基礎疾患の治療を優先しなければなりません。過眠症が疑われるときも、総合的な健康チェックを行い、他の病気の可能性を慎重に確認することが重要です。

過眠症を自力で治すには限界がある

過眠症は、自己治療だけで改善することが難しい病気です。

生活習慣の見直しや睡眠環境の改善は役立つこともありますが、医師の診察と治療が必要になるでしょう。過眠症の症状が強い場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、早急に医師の診察を受けるべきです。

自己判断での治療を続けると、症状の悪化や他の病気の見逃しにつながる可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

過眠症は、日中の強い眠気や突然の居眠りが特徴的な睡眠障害です。これにより、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。過眠症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や神経伝達物質の異常・脳の構造異常などが関係していると考えられます。

過眠症の治療には、薬物療法・認知行動療法・生活習慣の改善が有効です。症状が強い場合は、早めに医師の診察を受け、適切な治療を行いましょう。専門的な治療を受けることで、過眠症状の改善が期待できます。

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