40代を過ぎてから、いびきを家族に指摘されたことはありませんか?
実は更年期に入ってからいびきが気になり出したという方は、少なくありません。それはいびきの原因が更年期の症状と関係しているからです。
この記事では「更年期のいびき」にスポットを当て、原因や治療法・漢方などの対策を紹介します。ホルモンバランスを整えることで、更年期のいびきは解消できるかもしれません。具体的な方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
更年期の症状といびき
更年期には、ホルモンバランスの変化や体の変調がいびきに影響を与えることがあります。これらの症状といびきがどう関係しているのか、まずは理解を深めていきましょう。
- ホットフラッシュと寝汗
- 気分の変動
これらの症状が睡眠やいびきにどのような影響を与えるのか、具体的に見ていきます。
ホットフラッシュと寝汗
更年期に多く見られるホットフラッシュは、急な発汗と発熱を伴う症状です。
ホットフラッシュが睡眠中に起こると、寝汗をかきやすくなり、睡眠の質が低下することがあります。これにより、いびきをかく可能性が高まるのです。
寝汗をかくと、体内の水分が失われやすくなります。これにより喉が乾燥し、気道が狭くなることもいびきの原因のひとつです。
気分の変動
更年期には、ホルモンバランスの変化により、気分の変動や不安感・イライラ感が生じやすくなることも多いでしょう。これらの精神的ストレスが睡眠の質を低下させ、いびきを悪化させる可能性があります。また、ストレスにより呼吸が浅くなることも、いびきの原因のひとつです。
更年期におけるいびきの原因
更年期には、ホルモンバランスの変化や筋肉量の低下、体重増加がいびきの主な原因となります。これらの要因がどのようにいびきの発生に関与するのか、さらに詳しく掘り下げていきます。
- ホルモンバランスの変化による影響
- 筋肉量の低下と気道の狭まり
- 体重増加がいびきに与える影響
これらの原因を理解することで、更年期におけるいびき対策に役立てることができます。
ホルモンバランスの変化による影響
更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少する時期です。これらのホルモンは、気道の筋肉の緊張や弾力性を保つ役割を担っており、分泌量の減少が気道の狭まりや弛緩に繋がることがあります。
特に、エストロゲンは気道の粘膜の水分量を調整する働きを担っていることもポイントです。エストロゲンの減少により粘膜が乾燥しやすくなり、いびきの発生を助長する可能性があります。
筋肉量の低下と気道の狭まり
更年期以降は、加齢に伴い筋肉量が低下することもポイントです。これは、気道周りの筋肉も例外ではありません。
筋肉の衰えによって気道が狭まり、呼吸が妨げられることでいびきが発生しやすくなります。また、首や肩の筋肉の衰えが、睡眠中の姿勢を悪化させ、気道が圧迫される原因となることもあるのです。
体重増加がいびきに与える影響
更年期は、代謝が低下しやすく、体重が増加しやすい時期でもあります。喉まわりに脂肪がつくと気道を圧迫し、呼吸を妨げてしまうため、体重管理が重要です。また、肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めることも知られています。
おうちでできる更年期のいびき対策
更年期に伴ういびきの対策として、自宅でできる改善方法を紹介します。特に、体重管理と運動、そして睡眠環境の見直しが重要です。これらの取り組みは、更年期のいびきを軽減するために効果的です。
- 体重管理と運動の重要性
- 睡眠環境の見直し
日常生活に取り入れやすい対策を実践し、いびきを改善しましょう。
体重管理と運動の重要性
体重管理は、更年期におけるいびき対策として非常に重要です。食事療法や運動によって体重を管理することを心掛けてください。ホルモンバランスの乱れによって食欲の増加やイライラ感などを伴うことがあるため、適度な運動でストレスを発散すると良いでしょう。
また、以下に更年期におすすめの栄養素や食品の例をまとめました。その中でもトリプトファンやカルシウム・マグネシウム・オメガ3脂肪酸などは、睡眠の質を高める作用があります。これらの栄養をを含む食品を積極的に取り入れてみてください。
栄養素 | 食品の例 | 効果・特徴 |
---|---|---|
トリプトファン | 卵・豆類・ナッツ | メラトニンとセロトニンの生成を助け、リラックスを促進する効果があります。 |
カルシウム | 牛乳・チーズ・ヨーグルト・小魚・豆腐 | 骨の健康を維持し、骨粗鬆症のリスクを軽減します。 |
ビタミンD | 鮭・サバ・卵黄・きのこ類 | カルシウムの吸収を助け、骨の健康をサポートします。 |
マグネシウム | ほうれん草・アーモンド・バナナ・豆類 | 骨の健康や筋肉の機能を維持し、ストレス緩和に役立ちます。 |
ビタミンB6 | 鶏肉・バナナ・じゃがいも・ほうれん草 | ホルモンバランスを整え、気分の安定に寄与します。 |
オメガ3脂肪酸 | サーモン・マグロ・アマニ油・クルミ | 心血管の健康を守り、炎症を抑え、精神的な安定感をサポートします。 |
イソフラボン | 豆腐・納豆・豆乳・味噌 | 植物性エストロゲンとして働き、ホルモンバランスを整える効果があります。 |
ビタミンE | アーモンド・かぼちゃ・ほうれん草・アボカド | 抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぎ、更年期症状を和らげます。 |
亜鉛 | 牡蠣・牛肉・豆類・カシューナッツ | 免疫機能を強化し、ホルモンバランスの調整に役立ちます。 |
これらを積極的に摂取することで、更年期の症状を和らげ、睡眠の質を向上させることが期待できます。ただし、食べ過ぎは肥満の原因に繋がるため、注意してください。
睡眠環境の見直し
睡眠環境の見直しも、いびき対策に有効です。室温は適切な高さの枕やマットレスを選ぶことで、気道が圧迫されるのを防ぎ、呼吸をスムーズにすることができます。
また、仰向け寝は気道が狭まりやすく、いびきをかきやすいため、横向き寝を心がけましょう。横向き寝をする場合は、肩や首に負担がかからないように、高めの枕を選ぶことがポイントです。
室温は16~20℃、湿度は40~60%を保つようにしましょう。この室温は「やや涼しい」または「肌寒い」と感じる温度です。パジャマや寝具で快適に思える温度に調整することで、より快適に眠ることができます。
下記の記事では枕の選び方について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
参照元:温度、湿度と睡眠|NCNP病院(国立精神・神経医療研究センター)
専門的な治療でのいびき改善
更年期に伴ういびきを改善するためには、専門的な治療も選択肢に入れるべきです。各治療法の特徴や効果を理解し、自分に適した治療法を選びましょう。
- 漢方による更年期のいびき治療
- 更年期のホルモン療法といびきの関係
- 無呼吸症候群にはCPAP療法
- マウスピースによるいびき改善
- 外科手術によるいびきの改善
適切な治療を選択し、いびきの改善を目指しましょう。
漢方による更年期のいびき治療
更年期によるいびきの治療法として、漢方薬も有効な選択肢のひとつです。漢方は、身体全体のバランスを整えることを重視し、更年期特有の症状に対して総合的にアプローチします。
更年期に適した代表的な漢方は、次のとおりです。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
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血の巡りを良くし、ホルモンバランスを整える効果があります。更年期症状の改善にもよく用いられます。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
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気分の変動やイライラ、不眠といった精神的な症状に効果があり、間接的にいびきの改善に寄与します。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
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血行を促進し、冷え性やむくみを改善します。これにより、全身のバランスが整い、いびきが軽減することが期待されます。
漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて処方されるものです。医師に相談し、自分に適した漢方薬を選ぶようにしてください。また、即効性があるわけではなく、継続的な服用が必要な点に注意しましょう。
更年期のホルモン療法といびきの関係
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期特有のホルモンバランスの乱れを改善することができます。これにより、いびきの原因となる気道の狭まりや弛緩は、改善する可能性があるでしょう。
しかし、HRTには副作用のリスクがある点には注意が必要です。主な副作用として体重増加やむくみなどが挙げられます。これらはいびきを悪化させる要因になる症状です。HRTの服用は、医師の指導のもとで行い、気になる症状がある場合はすぐに相談するようにしてください。
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期に減少した女性ホルモンを補充する治療法です。これにより、更年期症状を緩和することができます。ホットフラッシュや寝汗・気分の変動などの症状改善に加え、骨粗鬆症や心血管疾患のリスクを軽減する効果も期待されていることが特徴です。
無呼吸症候群にはCPAP療法
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療法として広く用いられている方法です。
CPAP装置は鼻に装着したマスクを通して、一定の気圧の空気を送り込み、気道を常に開いた状態に保ちます。これにより、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する効果があることも特徴です。
マウスピースによるいびき改善
マウスピースは顎を前に出し、舌を押し上げることで気道を広げることができます。これにより、いびきを軽減する治療法です。CPAP療法と比べて装着が簡単で、持ち運びにも便利というメリットがあります。
ただし、すべての方に効果があるわけではありません。医師の診察を受け、適切なマウスピースを選ぶことが重要です。
外科手術によるいびきの改善
外科手術は舌や軟口蓋・扁桃などの組織を切除したり、気道の構造を変化させたりする治療法です。いびきが重症で他の治療法が効果がない場合、このような手術が選択肢となることがあります。
手術は効果が高い一方で、痛みや出血などのリスクを伴う治療法です。医師とよく相談して決める必要があります。
まとめ
更年期といびきは密接に関連しています。更年期には、ホルモンバランスの変化や筋肉量の低下、体重増加など、いびきを引き起こす要因が多く見られるのです。いびきを改善するには、生活習慣の見直しやホルモン療法、そして必要に応じた専門的な治療が効果的です。いびきが気になる場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要でしょう。