「妊娠中のいびき」と「ストレス」の関係や原因・治療方法を徹底解説

いびき 妊娠中

妊娠中にいびきが増えることは、意外と多くの方が経験しています。

ホルモンバランスの変化や体重増加、さらには仰向けでの睡眠などが原因で、妊婦のいびきが悪化することがあります。いびきは母体の健康だけでなく、胎児への影響も心配です。また、パートナーのいびきが原因で、妊娠中にストレスが増すこともあります。

本記事では、妊娠中のいびきの原因から、効果的な対策、さらには治療法までを詳しくご紹介します。いびきに悩む方はもちろん、パートナーのいびきに困っている方も、ぜひ参考にしてください。

目次

妊娠中のいびきの原因

妊娠中のいびきは、妊娠の時期によって異なる原因で発生します。妊娠初期・妊娠後期・産後と、これらの時期に応じた対策が重要です。ここではいびきの原因を分け、次の要素に沿って説明します。

  • 妊娠初期のホルモンバランスの影響
  • 妊娠後期の胎児による圧迫
  • 産後の疲労やストレス

これらを理解し、それぞれの時期に適した対策を紹介します。

妊娠初期のいびき

妊娠初期のいびきは、主にホルモンバランスの変化や体重増加が原因です。

妊娠の初期段階では、エストロゲン・プロゲステロンなどの分泌量が大きく変化します。これらは血液を循環させたり、筋肉の弛緩を促進したりする作用があるホルモンです。

分泌量が変わることで、鼻腔や喉の粘膜の腫れを引き起こし、気道を狭めてしまうことがあります。この時期には「鼻づまりが増えた」と感じることもあるでしょう。

また、妊娠初期は食欲の変化やむくみなども見られる時期です。首に脂肪がつくと気道が狭くなるため、いびきをかきやすくなります。

妊娠後期は胎児の成長の影響

妊娠後期のいびきは、胎児の成長による体内部の圧迫が主な原因です。

胎児が大きくなると、子宮が腹部を圧迫し、横隔膜が押し上げられます。これにより呼吸が浅くなることがあるのです。また、子宮の圧迫が心臓や肺への血液循環に影響を及ぼし、気道が狭くなることで、いびきが発生しやすくなります。

産後は疲労やストレスが原因に

産後のいびきは、睡眠不足や疲労・ストレスと精神的な負担・姿勢の変化が主な原因です。出産前の要因に加えて、これらが原因となり、いびきがひどくなることがあります。

出産後は授乳や夜泣きで睡眠が十分に取れないことが多く、疲労が蓄積されます。疲労は筋肉の働きをうまく調整できなくしてしまうのです。特に睡眠中は過度に筋肉が緩み、気道を狭めてしまいます。

また、育児によるストレスなどにより、睡眠の質が低下することもいびきを悪化させる原因です。仰向けで寝ることが増え、舌が気道に落ち込みやすくなります。

いびきが妊婦と胎児に与える影響

妊娠中のいびきは、母体と胎児の健康にリスクを伴う可能性があります。特に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まることが指摘されています。また、胎児への影響についても注意が必要です。

  • 妊娠高血圧症候群のリスク
  • 妊娠糖尿病のリスク
  • 妊娠中のいびきと胎児への影響

これらのリスクを把握し、早期対応の重要性について説明します。

妊娠高血圧症候群のリスク

妊娠高血圧症候群(PIH)は、妊娠20週以降に発症する高血圧状態で、妊娠中の合併症のひとつです。この症候群は、母体と胎児の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早期の発見と適切な管理が重要です。

母体においては脳卒中や肝臓・腎臓の障害、胎児においては成長遅延や早産のリスクを高めます。主な症状は次のとおりです。

高血圧

妊娠20週以降に、血圧が140/90 mmHg以上になることが特徴です。高血圧は母体の臓器や血管に負担をかけ、胎児の成長にも影響を及ぼします。

タンパク尿

尿検査でタンパクが検出されると、腎臓機能に負担がかかっている可能性があります。これは妊娠高血圧症候群の典型的な症状です。

むくみ(浮腫)

特に手足や顔にむくみが現れますが、妊娠中にむくみが見られることは一般的です。ただし、急激なむくみの増加は注意が必要です。

参照:妊娠高血圧症候群|日本産科婦人科学会

妊娠高血圧症候群のリスクが高まるのは、いびきが睡眠時無呼吸症候群(SAS)と関連することが理由です。SASは妊娠中の高血圧やタンパク尿のリスクを高めることが知られています。

治療には入院が必要になることもあるため、症状に気づいた場合はすぐに医師に相談してください。

妊娠糖尿病のリスク

いびきをかく妊婦は、妊娠糖尿病のリスクが高くなることが研究で示されています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と関連するいびきは、血糖値の管理が難しくなり、妊娠糖尿病のリスクを増加させる可能性があります。SASがある場合、母体と胎児の健康を守るために、適切な管理が重要です。

妊娠中のいびきと胎児への影響

いびきや無呼吸が続くと、胎児への酸素供給が不足する点に注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)より血液中の酸素濃度が低下すると、胎児の成長や発達に悪影響を及ぼす可能性が高まります。また、SASは早産や低体重児出産のリスクを高めることも知られているため、注意が必要です。

妊娠中にできるいびき対策

妊娠中のいびきを軽減するためには、寝る姿勢の工夫や体重管理、適切な製品の利用が効果的です。また、必要に応じて医療的な対策も検討することが大切です。

  • 妊娠中は横向きで寝る
  • 体重管理に気を付ける
  • いびき改善用の製品・グッズを使う
  • SASの治療にはCPAP療法
  • マウスピース治療は妊娠中でも可能
  • 妊娠中の手術によるいびき治療

このような対策と治療法の特徴をまとめ、安全で効果的ないびき対策を提案します。

妊娠中は横向きで寝る

横向きで寝ることで、気道が確保しやすくなるため、いびきを軽減する効果が期待できます。仰向けで寝ると、舌が気道に落ち込みやすくなりますが、横向きに寝ることで、呼吸が楽になるのです。

また、妊娠後期には、子宮の圧迫を避けるためにも横向きで寝ることが推奨されます。「マタニティピロー」や「妊婦用ボディピロー」を使うことで、横向き寝を自然にサポートしてくれるでしょう。

体重管理に気を付ける

適切な体重管理は、いびきの予防に役立ちます。妊娠中は、体重増加が避けられません。しかし、過剰な体重増加は気道の圧迫につながり、いびきを悪化させる要因です。体重増加を適度にコントロールするため、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を続けるようにしましょう。

いびき改善用の製品・グッズを使う

いびきの改善グッズにはさまざまな製品が種類があります。その中でも特に一般的なのがテープや点鼻薬です。以下に各製品の特徴やリスクをまとめました。

製品特徴リスク
鼻腔拡張テープ鼻孔を物理的に広げて呼吸を楽にする

即効性がある
皮膚にかぶれや赤みを起こすことがある
口閉じテープ鼻呼吸を促進し、いびきを防ぐ鼻づまりがある場合、呼吸困難を引き起こすリスク
点鼻薬
(鼻腔拡張スプレー)
粘膜に直接スプレーし、鼻粘膜の血管を収縮
即効性がある
妊婦は必ず医師に相談して使用すべき
長期間使用するとリバウンド効果が発生

鼻腔拡張テープは一般的に安全とされていますが、皮膚の敏感な部分に使用するため、かぶれに注意が必要です。口を塞ぐテープは、鼻づまりがある場合に使用すると呼吸が困難になる可能性があります。鼻づまりがないことを確認してから使用してください。

また、点鼻薬については、妊婦が使用する場合、成分や使用期間に特に注意が必要です。使用前に必ず医師に相談し、妊娠中でも安全な製品を選ぶようにしてください。

SASの治療にはCPAP療法

CPAP療法は睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、空気圧で気道を確保する治療法です。睡眠中の呼吸停止を防ぎ、いびきを軽減します。

妊娠中は無呼吸症候群のリスクが高まることがあり、CPAP療法が有効な対策です。薬品などを使用しないため、妊娠中でも比較的安全に使用できるでしょう。

ただし、CPAP装置の装着を煩わしく感じたり、慣れるまで時間がかかったりする場合があります。妊娠中にCPAP療法を行う際は、医師の指導を受けながら適切に管理するようにしてください。

マウスピース治療は妊娠中でも可能

妊娠中のいびき改善には、専門医によるマウスピース治療も有効です。マウスピース治療は、睡眠中にマウスピースを装着して下顎を前に出し、気道を確保することで、いびきを軽減します。

マウスピース治療はCPAP療法に比べて装着が楽で、持ち運びにも便利なため、妊娠中の治療としても適しています。ただし、マウスピースの効果や適合は個人差があるため、医師の指導のもとで適切なサイズや形状のものを選ぶことが大切です。

妊娠中の手術によるいびき治療

妊娠中にいびきが重症化している場合は、手術以外の治療法や出産後の治療を検討するのが一般的です。手術によるいびきの治療は、母体や胎児の安全を最優先にし、やむを得ない場合にのみ実施されます。

手術による治療は、いびきの原因となる部位を手術で改善する方法です。通常、他の治療法で効果が出ない場合に選択肢にあがります。代表的な手術は舌根部切除術や軟口蓋切除術などです。

しかし、妊娠中に手術を受ける場合、母体と胎児への影響を慎重に考慮する必要があります。手術には麻酔や出血のリスクが伴うため、妊娠中に行うことは非常に慎重に検討されるべきです。

まとめ

妊娠中のいびきは、多くの妊婦が経験する一般的な問題です。しかし、適切な対策を講じることで軽減することもできます。例えば、横向きで寝る姿勢を保つことや、体重管理に気を配ること、鼻腔を広げる製品を上手に活用することで、いびきのリスクを減らせます。

いびきが気になる場合は、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。専門医はいびきの原因を診断し、母体と胎児にとって安全かつ適切な治療法を提案してくれるでしょう。いびきを放置すると、母体だけでなく胎児にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対策を取ることが重要です。

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